著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

グレープフルーツジュースが効き目を強めてしまう薬はたくさんある

公開日: 更新日:

 血圧を下げる降圧薬とグレープフルーツジュースの“飲み合わせ”は広く知られています。グレープフルーツに含まれているフラノクマリン類が、腸内の細胞に存在する薬物代謝酵素CYP3A4を不可逆的に阻害するからです。

 CYP3A4は肝臓に多く存在しているのですが、腸内にも存在していて、医薬品の代謝を行っています。この腸内のCYP3A4が阻害されるということは、本来そこで分解されるはずの薬も吸収されるということなので、普段より薬の効果が強く出てしまう危険があるのです。

 降圧薬では、血圧が下がりすぎることが懸念されます。不可逆的に阻害されてしまったCYP3A4が元通りになるには3~4日かかるため、その間は医薬品の効果が強く出る可能性があるのです。すべての降圧薬が影響を受けるわけではありませんが、服用されている方はあらためて確認してみてください。

 ちなみに、フラノクマリン類はグレープフルーツだけに含まれているわけではありません。シークワーサーやスウィーティー、ライムやはっさくなど多くの柑橘類に含まれているので注意が必要です。ただ、温州ミカン、オレンジ、デコポンなどの果肉にはフラノクマリン類がほとんど含まれないことも知られています。

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