(2)子どもの斜視を放置すると「弱視」や「視力低下」に
前回紹介した「日本人における斜視の有病率の全国調査」(京都大学大学院医学研究科)では、若年層に斜視が多いことが分かりました。今回は子どもの斜視を取り上げます。
子どもの斜視に詳しい佐藤美保・浜松医科大学客員教授はこう話します。
「子どもの斜視は早期発見がとても重要です。放置すると弱視や視力低下につながりますし、両眼視機能(左右それぞれの目で見た像を統一する働き)を一生獲得できない恐れがあります。また、斜視は網膜芽細胞腫という乳幼児に特有の悪性腫瘍や脳、神経系の異常のサインのことがあるため早期発見して適切な治療をすることが大切です」
両眼視機能を失うと、将来にわたりさまざまな症状に悩まされる可能性があるそうです。たとえば、ものが二重に見える、前後左右の距離感がつかめない、目の痛みや疲れ、頭痛などで日常生活にも支障をきたします。大人の場合は斜視治療で改善できますが、子どもの時に失うと、改善が難しくなります。
佐藤客員教授によると、これまで行われてきた幼児の視力検査は精度が低く、片方の目だけ視力が悪い場合は自覚しにくいため、弱視を見逃すリスクがあるそうです。