脳の陰の主役「グリア細胞」はどう老化するのか…ニューロンを支配?
脳や脊髄がケガや病気になったときの修復反応をグリオーシスと言う。アストロサイトは数を増やすなど変化することでグリオーシスを行うが、修復反応が過剰になると、逆に神経毒性のある物質や炎症性の物質を分泌したり、オリゴデンドロサイトの脱髄化を進めるなどして逆にニューロンの動きを損なうこともある。
■女性ホルモンによる若返り効果は…
年をとると、体内にさまざまな炎症が起きる。そのため免疫細胞的な働きをするミクログリア細胞は常に活動しており、いざ脳に大きな障害が生じたり、感染が起きたりすると、それに備えるミクログリアが不足するとされる。
「当然ですが、加齢によりアストロサイトは自然と衰えます。するとニューロンが発する警告シグナルの反応が遅くなる。年をとると脳卒中の治りが遅くなるのはこのためです」
では、衰えたグリア細胞をどうすれば活性化できるのか? 女性ホルモンの「エストロゲン」を用いる方法はどうか。
脳の血流が低下するマウスを使った実験がある。脳の血管には広がったり、縮んだりする仕組みがあり、血液循環をコントロールしている。そのスイッチがアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質で、受容体に働きかけることで血管が広がり、十分な酸素と栄養が脳細胞に供給される。