著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

新型コロナウイルス感染症が認知症の引き金に?1252人のデータ分析

公開日: 更新日:

 感染症は、認知機能の低下や認知症の発症リスクを高めることが知られています。新型コロナウイルス感染症もまた、認知機能の障害や脳構造の変化を認めた症例が報告されています。同ウイルスの感染に伴う全身の炎症反応は、認知症の原因物質と考えられているアミロイドβタンパク質の産生を促す可能性も指摘されていました。

 そのような中、新型コロナウイルス感染症と認知機能の関連性を検討した研究論文が、「ネイチャー メディシン」という学術誌の電子版に2025年1月30日付で掲載されました。

 英国で行われたこの研究では、血液や組織などの検体情報や治療情報が集約されている大規模データベースを用いて、1252人の登録者が調査対象となりました。

 新型コロナウイルスのパンデミック以前、およびパンデミック中における検体情報や認知機能テストの結果などが収集され、認知機能に対する同ウイルス感染の影響が分析されています。

 その結果、新型コロナウイルスに感染した場合、血液中のアミロイドβ42とアミロイドβ40の比率の低下を認めました。アミロイドβ42は脳内に蓄積しやすいことが知られており、血液中のアミロイドβ42とアミロイドβ40の比率が低下したということは、脳内にアミロイドβタンパク質が蓄積している可能性を意味します。この比率の低下を年齢に換算すると、約4年分の加齢に相当しました。

 認知機能テストの結果についても、新型コロナウイルスの感染によって悪化しており、年齢換算で約2年分の加齢に相当すると見積もられました。論文著者らは「新型コロナウイルスへの感染は、将来的な認知症のリスクを高める可能性がある」と結論しています。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    元ソフトバンク「伊奈ゴジラ」の転落人生…淡路島で盗み84件総額472万円、通算5度目の逮捕

  3. 3

    大関・大の里すでに「師匠超え」の鋼メンタル!スキャンダル報道もどこ吹く風で3度目賜杯

  4. 4

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  5. 5

    テレ朝に“ナスD”超え「1億円横領」続々の過去…やりたい放題で解雇された社員のヤバい所業

  1. 6

    東洋大姫路・岡田監督が吐露「本当は履正社に再任用で残る予定で、母校に戻るつもりは…」

  2. 7

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  3. 8

    山下智久「正直不動産」映画化でひと儲け狙うNHKに「甘い」の声も…山P人気は下降気味

  4. 9

    レイズ看板選手「未成年への性的虐待容疑」で逮捕も…ドミニカは殺人も銃撃も「無罪放免」の実態

  5. 10

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在