圧迫骨折で入院の80代女性は「病院食はまずい」と食事を拒否
「なるほど。でも、自宅でも食べられなくなった時は、点滴で栄養補給できますからね」(私)
「点滴ばかりになると、口から食べられなくなっちゃうんですか?」(娘さん)
「それは……気持ちの問題じゃない?」(本人)
「私がおいしいごはん作るから、ちょっと様子見てみようよ」(娘さん)
「そうね、やってみるわ」(本人)
「じゃあ、栄養ゼリーも試しに置いておきますね。今日は点滴しておきましょう」(私)
「はい」(本人)
その後、娘さんの手料理のおかげもあって、徐々に口からの食事が再開できるようになりました。ご本人の言う通り、「気持ちの問題」だったのかもしれません。
「食べること」は「生きること」。自分の好きなものを、自宅という安心できる場所で口にできることは、時に患者さんの生きる力を大きく引き出すことがあります。
この患者さんは、初診から4年が経った今も、ご家族に囲まれながら、自宅でのびのびと穏やかな時間を過ごされています。