「治る見込み」を主治医にたずねると…野村邦丸さん腎臓がん手術からの生還

公開日: 更新日:

食品表示を気にするようになった

 腎臓が1つになったので、食事は減塩食でした。自分だけお味噌汁がないことが多かったです。1度だけ出てきたお味噌汁はとても薄かった。でも、「これもありだな」と思えました。退院するときには妻同席で栄養士の先生の指導があり、塩分は1日6グラムが理想とのことでした。さっそく減塩醤油に変えて、七味やコショウなどのスパイスや薬味をうまく使うことで薄味をカバー。おかげさまで食事はおいしく食べています。

 市販されている食べ物では、食品表示を気にするようになりました。使っている量が多いものから順に表示されていると栄養士の先生から教わったので、食塩がなるべく最後の方に表示してあるものを選んでいます。

 結局、手術から6日目には退院、その1週間後には現場復帰というスピード回復ができました。主治医がとにかくあっけらかんとしていて、抗がん剤治療中も「お酒好きでしょ? ビール小瓶1本ぐらいならいいですよ」と言ってくれたり、入院の後半、病室で暇そうにしている僕を見て退院を2日も早めてくれたり、心配なことは何もなく本当にスムーズでした。

 そんな先生との会話の中で学んだこともあります。一番は高額療養費制度。抗がん剤治療は月100万円を超えることもあり、高額療養費制度を使ったとしても、家庭によっては支払えない場合がある。医師はどう判断すべきか苦悩するといいます。

 薬はどんどんいいものができるけれど、価格もどんどん上がっていて支払える人とそうでない人の格差が生まれている。行政など救済制度がいろいろあるといいますが、本人はそれどころではありません。ですから、周りの人がサポートしてあげられるといいなとつくづく考えさせられました。

(聞き手=松永詠美子)

▽野村邦丸(のむら・くにまる) 1957年、神奈川県生まれ。大卒後、茨城放送に入社しアナウンサーとして活躍。91年からフリーで活動後、文化放送に入社。2017年に定年を迎え、現在はフリーとして文化放送の帯番組「くにまる食堂」のパーソナリティーを務める。

■本コラム待望の書籍化!愉快な病人たち(講談社 税込み1540円)好評発売中!

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  2. 2

    11歳差、バイセクシュアルを公言…二階堂ふみがカズレーザーにベタ惚れした理由

  3. 3

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  4. 4

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  5. 5

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  1. 6

    開星(島根)野々村直通監督「グラウンドで倒れたら本望?そういうのはない。子供にも失礼ですから」

  2. 7

    最速158キロ健大高崎・石垣元気を独占直撃!「最も関心があるプロ球団はどこですか?」

  3. 8

    風間俊介の“きゅるるん瞳”、庄司浩平人気もうなぎ上り!《BL苦手》も虜にするテレ東深夜ドラマの“沼り力”

  4. 9

    前代未聞! 広陵途中辞退の根底に「甲子園至上主義」…それを助長するNHK、朝日、毎日の罪

  5. 10

    山下美夢有が「素人ゴルファー」の父親の教えでメジャータイトルを取れたワケ