戦時の健康(4)日本では隠されてきた「心の病」…戦争のトラウマから逃れられない

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 しかし戦時においては、こうした問題は“個人の弱さ”として扱われがちであり、十分な支援が受けられることは少ない。医事評論家で長浜バイオ大学元教授(医療情報学)の永田宏氏が言う。

「重要なのは、心と身体が切り離されたものではないという点です。強いストレス免疫機能を低下させ、感染症にかかりやすくする。また食欲の低下は栄養状態を悪化させ、回復力を損ないます。つまり精神の問題は、そのまま身体の問題へと連鎖していくのです」

 しかも、戦時の精神疾患は本人のその後や周囲にも大きな影響を与える。

 2003年から約7年5カ月続いたイラク戦争では16.8万人の米兵が派遣されたが、帰還兵の約20%に深刻なストレス障害を生じた。そればかりでなく、帰還兵の子供たちの間でも行動障害や二次性外傷性ストレスなどの発生率が増加したという。PTSDなどの重度の心的外傷を負った本人に対して、医療従事者や家族等が共感的に接する中で起こりうるストレス反応だ。

 米国の派遣兵の家族研究では、親が戦闘地域に派遣された子どもは、派遣されていない子どもに対して、精神科および心理学専門家への受診率は11%増加し、行動障害は19%、ストレス障害は18%増加したという報告がある。

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