著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

(3)カウンセリングは本当に効くのか…止まった歯車の再稼働を促す“よそ者”の意義

公開日: 更新日:

 問題は、子供だけの中で完結しているわけではない。子供本人だけを何とかしようとしても、家庭、学校との関係、周囲の焦りや誤解がそのままでは、事態は好転しにくい。池田小学校事件後に当初叫ばれたのはカウンセラー増員だったが、実際には、子供だけをケアしても子供は立ち直らない、という事実が浮かび上がった。支えるべきは子供だけでなく、親であり、教師であり、学校という共同体そのものだった。このことは、不登校支援にもそのまま当てはまる。

 特に重要なのが「親の関わり」だ。子供だけが支援を受けても、家庭が変わらなければ前進しにくい。原因を問い詰める、正論で励ます、「いつから行けるのか」と結果を急ぐ。逆に、腫れ物に触るように何も言えなくなる。こうした極端な対応は、回復を妨げがちだ。まず必要なのは、本人を無理に動かすことではなく、関係を切らないこと、家族自身の焦りを整えること、安心できる接点を保つことである。

 カウンセリングは、苦しさの正体を見つけ、親子の関わり方を整え、学校との接点を無理なく保ちながら、次の一歩を回復していくアプローチである。どうしても今の学校が合わない子には、行かないという選択が必要なこともある。だが本当に大事なのは、その子が「学校に行きたくない」のか、それとも「行きたいのに行けない」のかを、丁寧に見極めることである。

 カウンセリングを含め、不登校を支えるさまざまなリソースがある。本人が自ら望むならもちろんだが、親にも門戸は開かれている。まずは親だけでも相談してみてほしい。そこから歯車が動き出すことは少なくない。=つづく

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