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ちゃんこ番として磨いた確かな腕が織りなす絶品の数々で、夢の世界へ

■炭火焼 玉秩父 吉祥寺

 吉祥寺は駅北口を出て、線路沿いを西荻方面へそぞろ歩くと、左側に小さな飲み屋街がある。若者たちの喧騒から遠ざかり、こよいの河岸の暖簾をくぐって、引き戸を開ける。そして止まり木を探していると、カウンターの真ん中にドンと腰を据えた紳士から声がかかった。

「ここ座りなよ」

 おしぼりと瓶ビール(中)550円でひと息ついて、改めて隣の紳士にお礼して乾杯。と、顔を合わせ思わず二度見してしまった。ママへ目を向けると、笑いながら大きくうなずく。巨人V9時代の立役者のひとり、末次利光さんではないか。店に通い30年以上になる大の常連客だという。恰幅(かっぷく)のいい体で麦焼酎のお茶割りを飲み干す姿といい、何ともかっこいい。

 日替わりの総菜4種から選ぶお通し300円に、春菊のゴマ和えをお願いし、テレビで応援していた頃を思い出していると、末次さんは杯を交わせば同じ仲間じゃないかと、店のことをあれこれ教えてくれた。マスターの齊藤徹さんが元力士だったこと、店名はマスターの現役当時の四股名からとったこと、引退後に店を開き今年で40年を迎えたこと。炭火の煙が立ち込めるなか、ほかの席からの合いの手が入ったりして、和気あいあいとして、知らず知らずにくつろいでいた。いい酒場だなあ。

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