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田丸昇
著者のコラム一覧
田丸昇

1950年5月5日、長野県東御市生まれ。元日本将棋連盟理事。中学生で奨励会入りし、佐瀬勇次名誉九段の門下生となる。長髪から「ライオン丸」というニックネームで知られた。16年10月に現役引退。近著に「名棋士の対局に学ぶ 詰め&必死」(創元社)がある。

「命がけの勝負や」と阪田三吉が語った南禅寺対局の結末

 1936(昭和11)年12月、読売新聞は「待望の巨人今ぞ起つ!」という見出しで社告を掲載した。伝説の棋士・阪田三吉(当時66)が長い沈黙を破って、木村義雄八段(同31)と対局することになったのだ。

 名人を自称したために中央棋界から10年以上にわたって絶縁されていた阪田。棋界の大先輩との対局を熱望した木村。阪田の棋界への復帰を10年前から働きかけていた読売――。そうした3者の思惑が重なって実現した。

 ただ将棋大成会(日本将棋連盟の前身)にとっては由々しき事態だった。前年に創設された実力制の名人戦で有力な名人候補の木村が阪田にもし敗れたら、木村が新名人に就いた場合に権威に傷がつきかねない。

 その木村は「大成会を脱会しても……」と強い意志を示して大成会を了承させ、「私にとって一世一代の大勝負。もし敗れたら名人に推されても辞退する」という覚悟で対局に臨んだ。

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