名曲喫茶ライオン<下>世界一の音「100年サテン」の一手

公開日: 更新日:

 それほどまでにはやったのは「当代随一」と誇った音の良さが最大の理由だろうが、地の利もあったようだ。当時、ライオンの入り口は現在の反対側にあった。旧入り口の前には3軒の映画館があって、そこで映画を楽しんだ人が帰りに寄るのが定番コースだった。大晦日は朝6時まで営業。閉店になるまでクラシックに酔い、そのまま明治神宮へ初詣に行くお客も多かった。

「私は日本橋生まれ。近所にあったカルピスの工場の中を通って学校に通ったわ。見合いで結婚して渋谷に来た時は田舎だなあと思った」

 自らを“ちゃきちゃきっ子”と言う石原さんは60代に欧州6カ国の旅に出た。ライオンの音色は世界最高なのかを確かめるためだ。音楽がかかるカフェなどを訪ね歩いたが、「やっぱりうちが一番だった」と語る。

 昭和と平成を見つめてきた老舗は創業100年、110年……と、これまでと変わらず時を刻む。石原さんの次男が4代目として、創業者の“パパさん”、山寺弥之助の世界観を見せ続けるつもりでいるからだ。しかし近隣が映画館からラブホテル街に変わり、レコードを片手に店の前に並ぶお客はいなくなった。続けていくのは容易ではないはず。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のライフ記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    台風19号で断水 町の自衛隊給水支援に神奈川県が“待った”

  2. 2

    緊急放流の6ダムで事前放流せず 国交省・自治体に重大責任

  3. 3

    関電疑獄は経産省が隠蔽 18年末に問題把握も目つぶったか

  4. 4

    大一番でスタメンの福岡堅樹にスコットランドは面食らった

  5. 5

    ジョセフHCは続投前向きも 日本8強入りで“三つ巴”争奪戦に

  6. 6

    3歳男児が2歳妹の髪を切ったら…斬新なヘアスタイルに!

  7. 7

    逆流下水は糞尿混じり…武蔵小杉タワマン台風19号被害ルポ

  8. 8

    「いだてん」視聴率ワースト更新で大河ドラマ存続の危機

  9. 9

    打者の胸元あたりのスピードとホップ感でミットをはねた

  10. 10

    三谷幸喜も信頼 小池栄子“アンチなし”全世代人気のワケ

もっと見る

編集部オススメ

  1. {{ $index+1 }}

    {{ pickup.Article.title_short }}

もっと見る