牧野伊三夫
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牧野伊三夫画家

1964年生まれ。画家。美術同人誌「四月と十月」同人。著書に「かぼちゃを塩で煮る」(幻冬舎)、「僕は、太陽をのむ」(港の人)ほか。北九州市情報誌「雲のうえ」、飛騨産業広報誌「飛騨」編集委員。

階段の踊り場で窓を開け そこは自分だけの「喫茶階段室」

公開日: 更新日:

 昨今、愛煙家は撲滅される運命にあるようだが、僕はまだたばこがやめられずにいる。以前、都内の住宅地にある美術館へ行った時に、通りへ出てたばこに火をつけたところ、15メートルばかり離れた場所で子供と遊んでいた若い父親が駆け足でやって来て、

「おい、子供がいるんだぞ。すぐに消せ」

 と恐ろしいけんまくで怒鳴った。煙が行っているとは思えなかったし、第一、口の利き方がなっていないではないか。ムッとしたが、殴りかからんばかりだったので何も言わずに火を消すと、

「気をつけろよ」

 と言い捨てて男は戻っていった。世の中、穏やかではない。

 僕が1日に吸うたばこは6、7本である。毎朝、桜の樺細工のたばこケースに10本入れているから分かる。以前はもっと多く吸っていたが、このごろはそのくらいでちょうどいい。いっそやめればいいとよく言われるが、絵を描くためにアトリエに入り、絵の具をいじる前に、長年の習慣もあってどうしても一服したくなる。このあと一日中、集中して自分と向き合う前に、ボンヤリとカンバスを見つめて空白の時をやり過ごす。たばこは緊張感をほぐしてくれるのだ。

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