橋本テツヤ
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橋本テツヤ

ジャーナリスト、コラムニスト、メンタルケア心理士、肥満予防健康管理士。著書多数。近著に「昭和ヒット曲全147曲の真実」(KADOKAWA)がある。全国各地で講演活動も精力的に展開中。

他人を羨むことはない生き方を考える

公開日: 更新日:

 地下鉄日比谷線の東銀座駅から新橋演舞場に向かう夕暮れ時である。高速道路に架かる陸橋の隅に、石造りのベンチがある。そこに高齢男が寝そべっていた。ホームレスだ。この人はどんな人生を歩んできたのだろうと気になりながら、70年代の夏の出来事を思い出した。

 葉山の海岸で行われたラジオの歌謡ショーで、牧村三枝子がデビュー曲の「少女は大人になりました」を歌い始めると、最前列にいたホームレスの中年男が、大粒の涙を流して泣いている。

「♪ひとりぼっちが淋しくて……見知らぬ人と駅を目指して歩きつつ……」

 北海道から上京した少女の悲しい身の上の歌だ。男の二の腕に「津軽命」と彫った入れ墨があった。青森出身なのだろう。故郷の娘を思って泣いたのかもしれない。ショーが終わり、次の場所の軽井沢に移動するため、重い音響機器をトラックに積み始めると、なんとその男が手伝い始めたではないか。

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