成毛眞さん<4>60代、70代は誰もやっていないことを頑張る

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 2000年にマイクロソフト日本法人の社長を退任した後は、投資・コンサルティング会社「インスパイア」を設立した。現在は、年に6冊ほど本を執筆したり、書評サイト「HONZ」の代表も務める。

「原稿執筆は『マイクロソフトを辞める』って聞きつけた文芸春秋のオファーが最初です。記念出版的に出しました。その前に、月刊『文芸春秋』で4人で回す『今月買った本』というコラムを書いていた時期があって、その文章がウケて、新潮社のフォーサイトで『遊んで暮らそう』という連載をしていた経緯もあります。それも22年くらい前の話ですね。僕の場合はたまたま出版社の人と付き合っていたから、今の仕事につながっています」

 一方で「インスパイア」を設立して2年目から、「会社に出勤していなかった」と言うが……。

「ファイナルファンタジーXIにハマって、自宅でオンラインゲーム三昧でした。ある時、現社長からオンライン上で『取締役はどうしますか?』って声をかけられたこともありました。その間に若手が4、5人辞めたんです。当然でしょう。その彼らは会社に見切りをつけ、マレーシアに住みついてマレーシア政府と一緒にファンドをつくった。それが今ではインスパイアと提携している。先がどうなるかなんて分からない。世の中、うまくできているんですよ」

 人生100年時代となって、会社員を辞めてから一旗揚げることもできるという。

「僕の場合は45歳で会社を辞めて、ベンチャーや出版業で遊んでいる。ただ、起業は40代までですかね。軌道に乗せるには10年はかかります。一方、会社員として60歳まで勤め上げても、80歳まで20年も時間が余っているんです。どうせ会社を辞めてから暇なんだから、この20年をどう生きるかです」

 60代、70代は「役に立たないこと」で「誰もやっていないこと」を頑張る時期だ。

「そのため、50代は自分の才能がどこにあるのかを探す期間なんです。特に男性は『社会の役に立ちたい』って言う人が多いけど、役に立つことはもう誰かがやっている。ただ、今までうまくいった商売って最初はすべて役に立たないことでした。例えば、パソコンが『マイクロコンピューター』と呼ばれていたときには、秋葉原の電気ショップにしか売ってなかったし、19世紀に誕生した銀板カメラなんて実用ではなく趣味のものでした。

 アインシュタインの『相対性理論』だって、当時は役に立たなかっただろうけど、今やGPSは相対性理論がないと動かない。だから、固定観念を捨ててみる。じいさんになって、ラーメンを1000杯食べるのは難しいけど、もなかならいけるかもしれない。東京中のもなかを食べて写真撮って、糖度を測って、マップでも作れば、それだけで専門家になれるのです」

 定年後が待ち遠しくなりそうだ。 

=おわり

(取材・文=小野真依子/日刊ゲンダイ)

▽なるけ・まこと 1955年北海道生まれ。中央大商学部卒業後、自動車部品メーカー「現・ダイナックス」に入社。86年に「現・日本マイクロソフト」に入社し、91年に同社代表取締役社長に就任。2000年に退任後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在は、書評サイト「HONZ」代表を務める。近著「俺たちの定年後」(ワニブックスPLUS新書)など。

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