瀬木比呂志さん<2>白黒をはっきりさせない和解に迷いも…

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 1983年、判事補として静岡地方・家庭裁判所浜松支部に異動した。そこで経験した民事裁判のひとつは、瀬木さんの裁判観の一端を形作るものになったという。交通事故に遭った中学生の少年(および親)と、加害者である運転手の民事裁判だ。

「幸い大事故にはなりませんでしたが、責任の所在を巡った争いになりました。少年側は、青で横断歩道を渡ったというし、ドライバーも青だったから通過したと主張する。警官の証人尋問でも、仮面のような表情と受け答えで真偽がわからない。ただ、実際には少年の方の証拠が弱かったんです。それで、僕がある程度強い口調でただしたら、少年が『もういいです。和解でいいです』と諦めるように言ったんです」

 男子生徒は「自分の方が悪かった」と調書を書いていたが、取り調べに立ち会わなかった少年の両親は警察官の誘導を疑っていた。

「調書は親と引き離して取っていたため、誘導の可能性もあるんですが、警官に尋ねても決まり切ったことしか言わないので、心証は取りにくい。僕はこの裁判で強く和解を勧めたのですが、少年はがっかりしたように『裁判ってこんなものか』って表情をしていましたね。ただ結果だけをみるなら、和解のほうが少年側にはよかったかもしれません。証拠からみれば、彼が勝つことは難しかったからです」

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