石塚集
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石塚集

医学系編集プロダクション経営。医学ライター。東洋美術学校・ユーザーエクスペリエンス(UX)担当講師。テクノロジー系勉強会・湯川塾事務局。「AI新聞」副編集長。新宿・歌舞伎町でバーテンダーもしている。

タクシーは人手不足で好機 川崎に魅了された作家のケース

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 今回取材したのは作家の石井政之さん(54歳)。石井さんは、生まれつき顔に赤いあざ(単純性血管腫)がある。現在は、顔にケガ、病気、先天異常などユニークな何かをもって生きる人たちをサポートする「ユニークフェイス研究所」を運営。今までには「肉体不平等 ひとはなぜ美しくなりたいのか?」(平凡社新書)、「人はあなたの顔をどう見ているか」(ちくまプリマー新書)など、共著も合わせると11冊の著作を発表している。石井さんが収入のひとつの軸にしている副業はタクシードライバー。

「タクシードライバーのいいところは自分で仕事をコントロールできるところです。一店舗を任されているようなもので、場所も時間も自分で決められます。酔っぱらいが苦手なら活動時間を昼にしたり、繁華街ではなく住宅地をメインに活動できます。管理されるのが苦手、自由に働きたい自営業向きの人はドライバーにも向いています」(石井さん)

 石井さんが勤務するのは横浜市鶴見区にある東宝タクシー株式会社。創業昭和28年の地元密着の老舗企業だ。社長の大野慶太さんも取材に応じてくれた。

「タクシー業界は勤怠と売り上げだけで給与が決まって、仕事を通じて成長するという考え方があまり浸透していません。しかし、ドライバーは顧客との対話が多い仕事です。ここに成長のポイントがあると思っています。状況を観察する力、相手が話しやすくするための共感力や聞く力を磨くと、それは人としての成長にもつながるし、コミュニケーションスキルが高いドライバーは送迎に呼ばれたり、長距離の時に指名される可能性が増えます。振り込め詐欺を防止することもあります。今後はドライバーの傾聴力に付加価値が付くかもしれません」(大野さん)

 石井さんはタクシードライバーになる時に、川崎という街にこだわりを持っていたそうだ。

「僕は2年前くらいまで愛知県にいました。離婚の手続き中に、『ルポ川崎 』(磯部涼著)というノンフィクションを読んだんです。東京と横浜に挟まれた川崎には、高級住宅街があり、京浜工場地帯があり、鉄鋼や自動車の大手企業があり、コリアンタウンがあり、飲み屋街や風俗産業も多い。日本中から流れ者がやってきて仕事をしている。実際にタクシードライバーになって感じたことは、この地区は都市の要素も多くて、車を所有しない人やタクシーをよく利用する中小企業の経営者も多い。鶴見区と川崎区は同じ湾岸地域としてマーケットとしてひとくくりに捉えることができて、この2区だけで十分稼げると思います。川崎に来る前は『北斗の拳』の修羅の国のような印象がありましたが、実際は首都圏の資本主義の最先端で仕事をする場所だなと思います。いまは、ドライバーをしながら、世の中を直接触っている感じがあり、楽しいです」(石井さん)

 最後にドライバーの収入を社長の大野さんに聞いた。

「ドライバーを本業にしてしっかり稼ぐ人は年収600万円程度はいきますし、副業でたまに出勤ってことになると、月に数万円から10万円程度ということになると思います。朝7時に出庫して夕方5時ごろに車庫に戻るような日勤、夕方5時に出庫して深夜3時ごろに帰庫する夜勤、朝の7時に出庫して深夜3時までに帰庫する隔日勤務など、勤務時間は選択できます。休憩も自由にとれますので、自分のペースで働けますよ。いまタクシー業界はドライバー不足なので働くチャンスは多いです。石井さんは、ドライバーを決して片手間にやられている感じはありません。むしろ、ドライバーもしっかりとこなしながら人間や地域を観察することで、文筆業にも深みが出ると思っています」(大野さん) 

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