ワクチン“垂直刺し” なぜ日本は半世紀以上避けてきたのか
ようやく始まった新型コロナワクチン接種のニュースを見て「痛そう」と感じた人も多いはず。国内承認されたファイザー製は、人の腕に垂直に針を刺す「筋肉注射」で投与する。従来、インフルエンザなどの予防接種は、30~45度の角度で針を刺す「皮下注射」。筋肉注射は、日本人にとって馴染みが薄い。
■ファイザー製は異例の“垂直刺し”
「筋肉注射は深さ1・5センチ、皮下注射は0・5センチと針の深さが違います。ファイザー製ワクチンは筋肉注射を前提に開発され、厚労省はそれを承認しました」(厚労省医薬品審査管理課)
日本で筋肉注射が“マイナー”になった理由は約60年前にさかのぼる。1962年、解熱剤や抗菌薬の筋肉注射を受けた乳幼児が「大腿四頭筋拘縮症」や「三角筋拘縮症」などの副反応を発症。責任を追及する訴訟にまで発展した。ハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)が言う。