長崎の世界遺産「軍艦島」とリゾート島「伊王島」に上陸!世界で唯一ティラノサウルスのレプリカも

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 1974(昭和49)年の閉山から50年にも満たないが、その朽ちゆく姿は西暦80年に建てられた円形闘技場のコロッセオを彷彿させる。世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつ「軍艦島」を訪れた。

  ◇  ◇  ◇

 五島灘に浮かぶ「軍艦島」は軍艦「土佐」に似ているとして付けられた通称名で、正しくは端島という。上陸するには「軍艦島クルーズ」を実施しているツアー会社への予約が必要だ。この日は「シーマン商会」(℡095・818・1105)の「さるくⅡ号」に乗船、長崎港から約18キロの沖合を目指した。

 波の高さが50センチを超えると上陸はNGで船から遠巻きに眺めるだけになると事前に聞かされていたが、居合わせた全乗客の祈りが通じたのか、気候に恵まれ無事に足を踏み入れることができた。

 もっとも、季節を巻き戻したかのように照りつける太陽を浴びているのは、怖いほど寒々しい廃虚の群れである。海底炭鉱を掘るためだけに整備された極めて人工的な島は、容赦のない波風にさらされて爆撃を受けたかのように崩壊を続けていた。年に数度は直撃する台風による高波は、大正時代に建てられた日本で最初の鉄筋コンクリート造りの高層集合住宅を軽くのみ込んでしまうという。時間が止まっているようで、暮らしの記録は容赦なく上塗りされて形を変えていく。それが妙な生々しさを醸し出し、訪れた人の心を締め付けるのだ。

 南北に480メートル、東西に160メートルで、東京ドームでいえば5個分の広さ。そんな小さな島に、最盛期は5300人もの人たちが住んでいたという。島内には小中学校はもちろん、病院、映画館、ビリヤード場、パチンコ屋、食堂、スナックと何でもあった。「ないのは緑とお墓と焼き場だけ」と言われたそうだ。

 仕事は3交代で、海底1000メートルほどの閉鎖された暗闇を頭のライトひとつで掘り進める。215人が命を落とした労働の見返りは破格で、現在の貨幣価値に合わせると初任給は50万~60万円。家庭にはテレビや洗濯機など最新の家電製品があふれていたという。モノには不自由しない満たされた暮らし。それでも海が荒れると船の往来が止まり、過密な島からは一歩も出られず、食料も届かなくなる。想像するに、自由が与えられた収容所のような生活……。日本の発展や戦後の復興を支えた人々の苦労は並大抵ではなかっただろう。

 見学できるエリアは制限され、滞在時間も40分ほどだが、何度でも訪れたい場所だ。

1日では遊びきれないリゾート島

 長崎港から船で19分、2011年に開通した「伊王島大橋」を渡れば、市街地から車で30分あまりの「伊王島」は、恵まれた自然環境に加えて施設も新しくなり、何日でも遊び倒せるリゾート島として人気だ。

 その中心は、18年に生まれ変わった宿泊施設「i+Land nagasaki(アイランドナガサキ)」(℡095・898・2202)。1万平方メートル超と広大な敷地は「ガーデンエリア」と「ポートエリア」に分かれていて、オーシャンビューが美しい3棟のホテルのほか、愛犬と一緒に過ごせるロッジ、グランピング施設などがあり、目的に応じた部屋選びが可能だ。

 温浴施設も充実している。天然温泉はかけ流しで海を望む露天風呂付き。一年中水着で遊べるスパや岩盤浴もあり、1万冊の書籍やコミックをそろえたリラクセーションルームも併設。そのほか子供には、ジャングルジムやボールプール、滑り台で走り回れる「プレイキッズランド」、大人にはビリヤードやダーツも楽しめる「フィッシャーマンズラウンジ」(宿泊者は1000円で飲み放題)もあり、1日ですべてを体験するのは難しい。

「お電話でご相談いただければ、基本の宿泊プラン以外でも対応できます」(営業支配人の三田村正昭さん)

 住民670人の6割がカトリック信徒という島のシンボルは白亜の天主堂「馬込教会」。

 1871(明治4)年に木造瓦ぶきの小聖堂として建てられ、その後、レンガ造りの教会に生まれ変わったが、落雷や台風で倒壊、1931(昭和6)年に現在の姿になった。

 高台から教会と海を見下ろすと、一服の絵画のような美しさである。

迫力満点のティラノサウルス

 今年10月、長崎半島の突端に「長崎市恐竜博物館」(℡095・898・8000)がオープンした。長崎市ではこれまで、ティラノサウルス科の大型種としては国内初となる歯の化石など1300点以上の恐竜化石が発見されているという。半島沿岸の「三ツ瀬層」は8100万年前の恐竜時代の地層で、白亜紀後期の貴重な標本を数多く産出しているそうだ。

 海に面した展示室は一面が窓。自然光の中で見る世界で唯一のティラノサウルスのレプリカは迫力満点である。2階には全長6メートルの復元ロボットもあり、大声で吠える姿にも驚かされる。

 近くには全室が“軍艦島ビュー”の「Nomon長崎」(℡095・893・1133)があり、こちらの天然温泉「のもん湯」は全国屈指の濃度を誇る炭酸泉。日頃の疲れを癒やすのに最適だ。

(取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ)   

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