田中幾太郎
著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

石原良純、森泉も兄弟姉妹で…「親族に慶応OBや在校生がいると幼稚舎入試に有利」は本当か?

公開日: 更新日:

 大阪万博まであと2年を切ったが、いまひとつ盛り上がらない。「入場者数は2800万人と低く想定しているが、それすら危うい。前回とはえらい違い」と大阪市関係者は嘆く。1970年開催の大阪万博では6421万人を集め、大成功を収めた。その牽引役となったのが大会のシンボルともいえる太陽の塔だ。このユニークな建造物を制作したのは慶応幼稚舎出身の岡本太郎である。

「幼稚舎というと実業家を輩出してきたイメージがあるが、一番の強みはきらびやかな才能を持つ芸能・文化人をたくさん育ててきたこと」と幼稚舎OBの慶応大元教授は話す。漫画家の岡本一平と歌人かの子との間に生まれた岡本太郎は、どの小学校にも馴染めず転校を繰り返した。最後に行き着いたのが幼稚舎。学業はさっぱりで学年52人中52番だったが、絵の才能は群を抜いていた。

「一芸に秀でた者の才を伸ばすのに最適の学校なんです。カリキュラムを押しつけず個性を潰さない真のゆとり教育が行われてきた」(前出のOB)

 岡本の同級生には国民栄誉賞歌手の藤山一郎がいる。こちらも学業のほうはぱっとせず、成績は51番。岡本からは「オレは授業をサボって52番。本当のビリはオマエだ」とからかわれた。

■OBには多彩な顔ぶれがズラリ

 現代に目を移しても、その才能を開花させたOB・OGは数えきれない。歌手、俳優、ニュースキャスターとマルチな活躍を見せる櫻井翔。ピアニストの中村紘子、ギタリストの成毛滋、作曲家の松任谷正隆や近田春夫、ラッパーのZeebraやDJ OASIS……。

 兄妹で芸術家として活躍するのは日本画家の千住博、クラシック作曲家の明、バイオリニストの真理子。石原慎太郎の息子たちも、中学から慶応に入った長男・伸晃を除き、次男・良純ら3人が幼稚舎出身だ。ファッションデザイナー森英恵の孫でタレントの森泉も、兄2人や妹らとともに幼稚舎に通った。

 2親等までの親族に慶応出身者や在校生がいると、幼稚舎の入試に有利に働くというのが定説だった。「兄や姉が幼稚舎に在学していると、さらにその有利さは大幅にアップするといわれてきた」と話すのは内実を知る幼児教室の経営者だ。

「ただし、それは2000年前後までの話。思い切った入試改革が行われ、縁故枠はほぼなくなった」と幼稚舎関係者は証言する。事実、以前に比べ、兄弟で幼稚舎というパターンはだいぶ減った。

「兄弟に在校生がいれば、幼稚舎の雰囲気を身近に感じることができ、入試に臨む際、有利に働くことはあるでしょう。でも、それは大きなアドバンテージというほどではない。誰にでも合格のチャンスがあるのが今の幼稚舎です」(前出の関係者)

 入試は11月初旬。保護者にとってはあと半年足らず、焦燥の日々が続くことになる。 =敬称略



◆田中幾太郎の著書「名門校の真実」」(1540円)日刊現代から好評発売中!

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