歴史的な逸品、満州焼きを頬ばる

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カシラのあぶらと味噌のコクが溶け合い…

 続けてこの店のもう一つの定番モツ炒めに豚足、紹興酒といきたいところを我慢して2軒目に。第一亭から歩いて30秒で「名物 満州焼 庄兵衛」の看板が見えてくる。のぞくと夕暮れ時なのにカウンターには客がチラホラ。ついたてを境に10卓ほどのテーブルには3組ほどの客が串を頬ばっていた。カウンターの中ほどに陣取り、さっそく満州焼き(180円)とホッピーを注文。満州焼きは豚のカシラの赤身部分を特製の味噌だれにくぐらせ何度もつけ焼きした串焼きである。一口頬ばるとカシラのあぶらと味噌のコクが溶け合って口中はシアワセいっぱい。そこにホッピーをグビリ。たまらないでしょ。

 店主の原さんのお父さんが満州から引き揚げ、最初に桜木町で店を構えたとのこと。そのころ安く手に入った豚のカシラを地元の労働者が好む濃い味付けにして出したのがそもそもの始まり。労働者の中には父親と同じ満州からの引き揚げ者も多く、カシラの味噌焼きを頬ばりながら、苦労を乗り越えた。自然と満州焼きという呼び名がついたらしい。満州焼きのほかにモツと鶏の串焼きが数種類。そして忘れてはならないのが豚バラの塩焼き(150円)。これも絶品。ここの串焼きは一つ一つのサイズが小ぶりなのがありがたい。

 今回は野毛の日ノ出町に近いエリアをのぞいてみたが、まだまだ面白いところがありますぞ。(藤井優)

○台湾料理 第一亭 横浜市中区日ノ出町1-20
○庄兵衛日ノ出町店 横浜市中区日ノ出町1-25

【連載】今、こんな「昭和の街」が大ブーム

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