離乳目前に保護された野良猫母子のラッキーな余生
離乳期とはいえ、子猫を抱えた母猫が警戒心を強めるのは当然で、そんな母の姿を見て育つ子猫も今後、警戒心を強める恐れがあります。そうなると、子猫はヒトを怖いものと認識し、ヒトに懐きにくくなるので、母猫には気の毒ですが、里親探しをお手伝いするので母から離して子猫2匹を連れてきてほしいと指示しました。
もちろん、引き離すときの母猫の抵抗は強く、かなり怒ったそうです。連れて来られた子猫2匹も当初はシャア、シャアと警戒していましたが、次第にわれわれスタッフに懐きました。
写真は当院に来て3、4日目です。私の手の中で安心するようになったほど懐いたことでスタッフはじめヒトにも慣れ、無事に里親さんも決まりました。里親さんが引き取りにこられたときは、そのご家族のお子さんが抱っこしても気にしないくらい警戒心はなくなっていたのです。
実家で飼われている母猫も避妊手術を済ませているので、黄体ホルモンの分泌が低下すれば警戒心もほぐれて、もうすぐ懐くと思います。たとえ保護されなかったとしても子猫が離乳すれば、母としては子離れの時期ですから、母は母でかかりつけの方の実家の一員として過ごせば無事に落ち着いた余生を過ごせるでしょう。
子猫は3カ月ほど離乳までの期間を母猫に育てられると、社会性も身につきます。その点でも母猫の育児に勝るものはありませんから、実家で保護されたのは理想的なタイミングといえるでしょう。
(カーター動物病院・片岡重明院長)