甲子園も東大進学と同じ? 我が子が高校球児になるにも親の"金次第"…スポーツ体験の格差社会とは?
高校進学時のスカウティングシステムも複雑だ。現在は従来の特待生制度が基本的に禁止され、スポーツ推薦制度に変わっている。将来有望な選手は学費や入学金が免除されるが、「施設維持費は別途請求されることが多い。合宿所費用、生活費も必要で、強豪校では授業料以外に月5~10万円程度かかると聞いています」(美山氏)
どんなに頑張っても、全員がプロになれるわけではない。それでも保護者が高額な費用を負担する理由について、美山氏はこう分析をする。
「東大進学のような将来経済的に元が取れる先行投資とは性格が異なり、子どもの夢を応援したいという、純粋な親心という側面が強いですね」
高校野球に限らず、スポーツ格差の問題は深刻だ。例えば、学校の部活動に加えて、高い月謝を払ってテニススクールに通う中学生もいるとか。裕福な家庭の子どもほど上達するという学習塾と同じ図式が成り立つ。今後、学校の部活動の地域への移行が進めば、子どもたちが気軽にスポーツを楽しむことすら困難になるだろう。
かつて「学歴や家庭環境に恵まれなくても、運動能力で道を拓く」という生き方は、時代とともに選択肢から消えつつあるようだ。