増える通り魔的事件、現代人の「狙われやすい」歩き方。危険時に身を守る方法とは【元警部が解説】

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コクハク

犯行に狙われやすい人物像とは

 神戸市のマンションで24歳女性が刺殺された事件は、見知らぬ男に50分間つけ回された末の凶行だった。犯人は数日前から神戸のホテルに宿泊し、犯行を計画。オートロックマンションも無力化され、エレベーター内で刃物を振るった。

 被害者と面識のない「通り魔的ストーカー殺人」の恐怖が現実となったが、自身や一人暮らしの娘などがいる親なら心配は尽きない。防ぐ手立てはあるのだろうか。

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「彼らがターゲットにするのは、自分が征服できると思わせるタイプです。おとなしそうで、騒がないだろうと思わせる女性が狙われやすい。イケイケの気の強そうな女性より、控えめな女性の方が危険にさらされるのが現実です」

 元千葉県警警部で現在調査業を営む齋藤練吾氏が、今回のようなストーカー犯の心理をこう分析する。神戸の事件のように通りすがりに狙われた場合、被害者は完全に無力だ。しかし50分間もつけ回されていれば、気づく可能性はあったはずだという。

現代人の「ながら歩き」はターゲットに

 齋藤氏が最も危険視するのが、現代人の「ながら歩き」だ。

「スマホを見ながら、イヤホンをして歩いている人は絶対に狙われます。後ろから誰が近づいても気づかない。犯罪者なら間違いなくそういう人をターゲットにします」

 周囲への警戒心を怠らないことも大事だという。オートロックマンションでも油断は禁物だ。

「会社を出るとき、ビルの前で周りを確認する。駅を利用するなら、同じ人が続けて乗ってこないかチェックする。見覚えのある人がいたら、遠回りして帰宅する。直行すれば一発で自宅がばれてしまいます。

 また、侵入者は外からベランダを見て、マンションに入った数分後に電気がつく部屋を特定します。すぐに電気をつけない、外出時は電気をつけっぱなしにするなどの対策が有効です」

確実な証拠になる方法

 不審な人物を発見したら、躊躇せずスマートフォンで動画撮影することも得策だ。

「自撮りをするふりをして相手を撮影する。それが2回、3回あれば、警察もストーカーのつきまとい行為として認定しやすくなります。日付も記録されるので確実な証拠になります」

 護身用具としては催涙スプレーが有効だが、使用後の行動も注意したい。

「スプレーをかけて相手が動けなくなったら、すぐにコンビニに駆け込むことです。防犯カメラが多数設置され、店員も不審者対策の教育を受けている。110番通報もしてくれるし、カラーボールも常備されています」

「若くないから狙われない」は思い込み

 さらに「私は若くないから狙われない」──というのは思い込み。ストーカー被害に年齢は関係ないと齋藤氏は警告する。

「70代の女性が同年代の男性にストーカーされた事件もあります。老後にやることがなく、奥さんに先立たれた高齢男性が、若い人に相手にされないから同世代を狙う。『もう歳だから』という安心は全く根拠がありません。

 女性が安心して夜も出歩ける安全大国日本ではもはやありません。すべての女性が常に周囲に注意を向け、触覚を研ぎ澄ませて歩かなければならない時代になったのです」

 悲しいが、それが事実のようだ。

(コクハク編集部)

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