(8)京王線随一の焼き鳥
当時は、現在のご主人の父上の代だった。店の創業は昭和38(1963)年で、これが私の生まれ年なのだが、訪れたのが2005年だったとすると、私は42歳ということになる。ちょうど20年前だ。
それ以来、南平のこの一軒は、いつも気になって、初代のご夫婦が店を離れた後も、たまに顔を出してきた。
今は、二代目にあたる現在の主人夫婦に代替わりをし、三代目の息子さんも一緒に店に出ている。ご主人も女将も、セガレさんも、みんな多摩っ子だと思うと、他のどんな店にいるときより、ホッとした気分になる。
先日は墓参りをした後で、霊園の駐車場で無性にもつ焼きが食べたくなった。日曜なので、店内営業はしていないが、たしか、テイクアウトはやっていたはず……。
電話をかけてみると、嬉しいことに、お土産できますよ、とのことである。タン塩5本、他に10本はお任せで頼んだ。
家に着くなり、冷蔵庫のビールを取り出し、もつ焼き各種を皿に並べ、さらには、ビールの後のキンミヤ焼酎も卓に置いて準備万端整った。この日は、競馬のジャパンカップのあった日で、録画しておいたレースを観ながら、京王線随一のやきとりを、じっくり味わった。
近いうちに、店のほうにも顔を出すべし。そう思えばまたまた嬉しい。近所に行きつけを持つヨロコビというものだ。


















