著者のコラム一覧
島田裕巳宗教学者、作家

1953年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。宗教学者、作家。現在、東京通信大学非常勤講師。「葬式は、要らない」「死に方の思想」「日本の新宗教」、「日本人にとって皇室とは何か」など著書多数。

「男系」どころか「フカ系」? 神武天皇を持ち出す"皇統2600年論"と神話の奇妙な関係

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 神話というものは、歴史とは異なり、人間の想像力の産物である。神話は、世界がどのようにしてはじまり、人間がどのように誕生したかを語るものだが、なにぶん古代にできたもので、学術的な研究がはじまるはるか前に作られている。そのため、荒唐無稽な説明が施されるのも珍しくない。

 神武天皇は、『古事記』や『日本書紀』では人間として描かれているが、その父親はウガヤフキアエズノミコトという神である。さらにその父はホオリノミコトである。ホオリノミコトではなじみがないかもしれないが、竜宮城におもむいた山幸彦のことである。

 その山幸彦が竜宮城で出会い結婚したのがトヨタマヒメである。トヨタマヒメは、出産する際、夫に自分の姿を見てくれるなと頼んだが、夫はそれを見てしまう。すると、トヨタマヒメは、ヤヒロワニになっていて、腹ばい、うねっていた。

 ヤヒロワニが何かについては説が分かれ、ワニとするものもあれば、フカとするものもある。トヨタマヒメの父が海の神とされているので、おそらくはフカをさすであろう。

 つまり、神武天皇の祖母は、大型のサメを意味するフカなのである。フカヒレは中華料理の高級食材である。

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