受動喫煙訴訟 日本禁煙学会理事長が刑事告発された顛末
3月29日、厚生労働省の記者クラブで注目の会見が開かれた。首都圏在住の7人の告発人が、一般社団法人・日本禁煙学会の作田学理事長を虚偽診断書行使罪で東京地検特捜部に刑事告発することを知らせる内容で、会見には4人が出席した。その後、告発先は神奈川県警青葉署に変更され、3月31日に告発状が提出された。
いったい、どういうことか。まずは経緯を簡単に説明しよう。コトの発端は横浜市内在住のA家族が、同じマンションに住むミュージシャンのB氏に対し、受動喫煙で健康被害を受けたなどとして約4500万円もの損害賠償を求める訴訟を2017年11月、横浜地裁に起こしたことだ。
この裁判では原告A家族の3人(A、A妻、A娘)が、B氏の喫煙による受動喫煙で健康被害を受けたと主張した。
しかし、横浜地裁は「本件全証拠によっても、原告らの体調不良ないし健康被害がたばこの副流煙によって生じたと認めることはできない」などとして、2019年11月28日、原告の請求を棄却した。その後の控訴審(東京高裁)でも「控訴人らの本件各請求は理由がない」として、2020年10月29日の判決で控訴を棄却した。