フランス大規模デモで市庁舎炎上、店舗略奪も…現地在住日本人が感じたメディアやSNSとの「温度差」
「手首を切断された子、目を潰された子がいた」?
政府が具体的な解決策を示さなかったことから、労働組合・黄色いベスト層などが合流し、10月17日の大規模デモへと発展した。
「今回はやばい」と、デモ慣れしたパリジャンの友人は真顔で言った。
「高校生の中には、手首を切断された子や目を潰された子がいた」と。調べると、正しくは「警察の音響催涙弾を拾って手元で爆発した子」「ゴム弾が顔に当たり片目を失明した子」だった。話は膨らんでいるが、事実ではあるらしい。それでも、どこか実感が湧かなかった。
迎えた当日、デモのエリア外に出かけた筆者は、偶然デモに遭遇した。音楽に合わせて踊り、おしゃべりしながらプラカードを掲げて歩く、いつものフランスのデモだ。ゴミの量はいつもより多かったが、「大規模だからかな」と思った程度だった。
ところが帰宅すると、日本の両親から「大丈夫?」と連絡がきた。テレビには地獄のような映像が流れ、SNSも破壊された街の投稿であふれていた。この映像を見ると、確かに今回はやばいかも……。
■SNSやメディアでは過剰な映像ばかり
10月27日現在、デモはまだ続いている。先日は朝から多くの店がシャッターを下ろし、日本大使館からも夜間外出禁止令の注意喚起があった。知り合いの高校生は「オンライン授業に部外者が入ってきて、奇声をあげて妨害された」と話す。
ただ、それくらいだ。ほかはいたって普通で、「少し不便」な日常が続いている。
そもそもフランスでは、デモで学校や店が休みになったり、地下鉄が運休したりするのは珍しくない。電車の遅れも日常茶飯事だ。日本なら大混乱だろうが、こちらでは誰もが「またか」と肩をすくめてやり過ごす。
それは、フランスで約2年生活するうちに、不便な日常にすっかり慣れてしまったからかもしれない。少々のことでは動じなくなった。良くも悪くも、フランスで暮らすとはこういうことなのだ。
(文・写真=綾部まと)
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