伝説のバーテンダー井山計一の愛弟子・秋田治郎さんは声を失ってもカクテルを作り続ける
秋田治郎(1952年6月生まれ/カクテル・ジロー店主 )
国内で活躍するバーテンダーはおよそ7000人。その中でも日本最高齢バーテンダーとして“伝説”となった井山計一さん(2021年に95歳で逝去)が生前、「自分が長生きしすぎて弟子たちはみんな死んじゃった。いや、秋田のにかほ市にまだ一人いるかな」と語っていた。その言葉がずっと気になって秋田に足を運んでみた。 (取材・文=加藤広栄/日刊ゲンダイ)
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東海大学在学中にアルバイトでこの世界に飛び込んだ。以来、50年以上もシェーカーを振り続けている。
「お酒も飲めませんでしたし、ろくに話もできませんでしたね」
治郎さんは姉、兄、自分の3人きょうだいの末っ子。両親は旅館を営んでいたという。
「昔の仁賀保は石油が掘れていたこともあってずいぶん賑わっていたもんです。小学校は確か1学年で4クラスもありましたっけ」
そうして差し出してくれたのが、治郎さんのオリジナルカクテル「オールド・キャッスル」だ。1987年に帝国ホテルで開催された第2回スコッチウイスキー・カクテル・コンペティションで2位に入賞した思い出の酒だ。
「スコッチ・ウイスキーとジンジャー・ワインをベースにライムジュースなどを合わせたもの。ただ、使っていた英国フィンズベリー蒸留所のストーンズ・ジンジャー・ワインが製造終了になって手に入らなくなり、本来の味が出せなくなってしまったんですよ」
ジンジャー・ワインは、白ワインと生姜を樽熟成させた香味のフレーバード・ワインのひとつ。ストーンズ・ジンジャーは水道事情の悪いイギリス・ロンドンで1740年に誕生した由緒あるもの。治郎さん、こだわりの材料がなくなって「残念でならないよ」といった顔つきをしている。

















