“蚕業革命”なるか 熊本に世界最大級の「養蚕工場」が完成
現代の富岡製糸場になるかもしれない―――。求人広告を手がける「あつまるホールディングス」(熊本市)は先月、熊本県山鹿市に世界最大級の養蚕工場を完成させた(写真)。総工費は23億円。現在、試験稼働中で、7月から本格稼働させ、繭の生産量を3年以内に年間50トンにする予定。これは国内最大の産地である群馬県の年間生産量に匹敵するというから、すごい規模だ。養蚕と言えば、過去の産業というイメージがあるが、なぜ今、畑違いの養蚕に巨額の投資をするのか。
「あつまるHD」常務の島田裕太氏はこう言う。
「絹はファッション用途の高級志向もありますが、医療、化粧品、食品など新たな用途が広がりつつある。一方、世界的に生産量は減っている。大規模な参入者もいない。先手を打った格好です」
思った以上に国内の養蚕業は散々だ。「大日本蚕糸会」が公表している全国の養蚕農家数。1994年に1万9000戸あったが、15年はたったの368戸と、94年の2%。いやはや壊滅的な状況だ。