日本電産・関次期社長 売上高10兆円に「くらくら」で転身
「だまされたつもりで来い。必ず幸せにしてやる」
日本電産創業者で経営トップの永守重信会長(75)にこう口説かれ、関潤氏(58)は30年以上勤めた日産自動車から日本電産への転身を決断した。4月1日に社長に就任し、永守氏が示す「2030年度に売上高10兆円」の目標実現に向け、「一緒に道をつくる」と意気込みを語った。
後継者問題が長年にわたる課題となっている日本電産。関氏は昨年12月、日産の副最高執行責任者(COO)に就任し、経営の立て直しを託されたが、「10兆円、一緒にやるぞ」という永守氏の言葉に「くらくら来た」。この熱意が「(転身を決める)一番のポイントだった」と笑顔で振り返る。
古巣への愛着は今も強い。慕ってくれた社員もいたが「最後のわがままと決めて決別してきた。申し訳ないと思うが、後悔は全くない」ときっぱり。日産ではエンジン開発など生産技術畑を長く歩み、米国駐在を経験し、中国の合弁会社のトップも務めた。
永守氏は「社運を懸けた(自動車関連)事業を指揮してもらえる人材」と太鼓判を押し、後継者の最有力候補としての期待を公言した。
信条は「シンプル・アンド・フェア」。得意なスポーツはゴルフだが、「まずは10兆円が優先」と当面は封印し、大きな目標へ一歩を踏み出す考えだ。