著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

首位Jフロントの百貨店売上は6割 近づく不動産業への転換

公開日: 更新日:

 百貨店業界の勢力図に最近、大きな動きが出ている。売上高トップが入れ替わったのだ。盟主・三越伊勢丹ホールディングス(HD)に代わって、その座に就いたのは大丸松坂屋百貨店を擁するJ・フロントリテイリング(以下=Jフロント)。19年度売上高で、三越伊勢丹HDの1兆1191億円を抜き、1兆1336億円を計上。わずかながらJフロントが上回った。

「三越伊勢丹HDが3月決算、Jフロントが2月決算なので、新型コロナウイルスの影響の度合いを考えれば、手放しで喜ぶような状況にはないが、トップに立ったのは歓迎すべきこと。数年前まではあちらが圧倒的な強さを誇っていたのですから」

 声を弾ませるのは大丸松坂屋の中堅社員。だが、同じ大丸松坂屋でもベテラン社員の見方は違う。

「今や、Jフロントの百貨店事業の売上は全売上の63%しかない。“脱百貨店”をうたったのは初代社長の奥田務さんですが、その流れはますます加速している。近い将来、百貨店ではなく、不動産業に分類されることになるのではないか」

 このベテラン社員の言葉はどこか怒気を含んでいる。その理由は、彼が松坂屋出身だからだ。

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