自粛特需を享受 コロナ後も期待できる段ボールのレンゴー
新型コロナウイルスを逆手に取って業績を伸ばしている業界は少なくない。ネット通販や動画配信、スーパー、ドラッグストアなどである。中でも外出自粛や商業施設の営業自粛でネット通販の需要は世界的に急拡大した。
日本でも需要の急増に応じきれず、都市部などでは宅配の遅配や時間指定ができなくなることが日常化している。直接手渡しせずに玄関ドアの前に荷物を置くだけの「置き配」も増えてきた。
そんな通販特需の恩恵をフルに受けているのが段ボールを扱う製紙業界だ。レンゴー(3941)は段ボール用原紙など板紙の国内トップメーカー。製紙業界全体でも王子ホールディングス、日本製紙に次ぐ総合3位の実力を持つ大手だ。
ネット通販の拡大などにより、ここ数年、利益率が急上昇している。13日発表の2020年3月期決算は61・9%の最終増益と驚異的な増益で着地した。というのも、その前の19年3月期が過去最高益だったからで、コロナ禍でそれを6割も上回っているのは「スゴい」というほかない。
これは原料となる段ボール古紙の輸出が新型コロナの影響で滞り、国内価格が一時14年ぶりの安値水準まで下落したことが大きい。その一方で、段ボール製品の値上げが浸透した上に、巣ごもり消費で需要が押し上げられた。つまり、原料安・製品高をフルに享受しているのだ。古紙を溶かす時に大量消費する原油(重油)の急落も、さらなる追い風となった。