大阪糖菓 野村しおり社長<4>金平糖はインスタ映えを意識、和から洋へ魅せ方を工夫
フロイスしおりこと野村しおりさんは取材時も大きな縁取りの帽子が印象的なポルトガルの貴婦人風のコスプレで対応してくれた。
金平糖はポルトガルが発祥の地で、日本に伝来した安土桃山時代から450年以上の歴史を持つ砂糖菓子。金平糖作りは決して容易ではない。直径180センチで重さ800キロもある専用の鉄釜を1分間に2回、ゆっくりと回転させながら芯になるグラニュー糖に蜜をかけ、かき混ぜる。1日1ミリ程度しか大きくならず、15ミリの粒になるためには約2週間もかかるのだ。
金平糖の特徴である凹凸のある角(ツノ)をきれいにつくるためには、鉄釜の温度や傾斜角度、蜜の量を調整し続ける必要があり、製造には熟練の技を要す。
コロナ禍で観光需要が落ち込み、製造量の減産を余儀なくされる中、週3日勤務では「製造の感覚や体調管理が逆に難しくなった」と、しおりさんは話す。今は勤務日数は減らさず、暑さ対策と密回避のため、時短を取り入れている。
それでもお菓子の多様化に加え、技術承継や後継者問題、またコスト高による経営圧迫などで、最盛期の50年前に大阪だけで40社近くあった金平糖関連業者も、今や全国で9社にまで落ち込んだ。