既に受付終了で今すぐは買えないが…日本が誇る“走る国宝”GRカローラにLAでひと足先に乗った
トヨタGRカローラ(車両価格:¥5,250,000/税込み~)
マツダ・ロードスターにトヨタGR86。どちらも日本が誇る300万円で買える大衆スポーツだが、もう一つの誇り、大人5人が乗れる本格お手軽スポーツ、トヨタ新型GRカローラに乗ってきた。それもひと足先に西海岸LAで!
GRカローラは去年4月世界発表。コロナやパーツ不足の影響で国内はまず500台限定で抽選発売。受付は昨年12月で終了しており、今は春頃始まる納車待ち。よって国内試乗はそれ以降になるだろうが、ラッキーにも筆者はひと足先にLAの世界カーオブザイヤー試乗会で乗ることができたのだ。
気になるGRカローラだが、見た目は確かに現行ハッチバックモデルのカローラスポーツの延長。それをベースにちょっと速くしただけ? と勘違いする人もいるかもしれない。しかし中身は別物だ。
そのままラリー競技に出られるレベル
骨格は同じGA-Cプラットフォームだが、全長×全幅×全高は4410×1850×1480mmで35mm長く60mm広くて20mmも高い。特にフェンダーは専用ハイグリップタイヤを履くため相当マッチョ。前後バンパーも空力や冷却性能向上のためかなりラリー車的。
それだけじゃなく、ルーフはカーボンプラスティック製でドアやボンネットはアルミ。骨格もカローラスポーツ比で349打点のスポット溶接増し打ちを敢行。構造用接着剤塗布量も2.7m増している。
その結果のボディ剛性アップはハンパじゃなく、まさにそのままラリー競技に出られるレベルだ。
さらにエンジンは世界ラリー選手権用ベース車とも言える本格スポーツハッチ、GRヤリス用と同じ専用開発の1.6ℓ直3ターボ搭載。パーツ精度は一般車とは比較にならず、ほとんど手組されてピークパワー&トルクは304ps&370Nmとこちらもまたレーシングレベル。
駆動方式もGRヤリス譲りの4輪システム「GR-FOUR」を使っており、これが任意でリア寄りの設定もできて普通じゃない。
クラッチは軽く、発進はイージー。毎日乗れる味付け
肝心の走り味だが、見た目のゴツさはさておき、室内は大型の本格バケットシート以外は結構普通にリッチ。メーターはデジタルでコネクティッド機能も最新カローラレベル。リアシートは広くはないが一応大人が3人乗れ、ラゲッジも床が高くて狭めだが200ℓはありそう。
なにより本格スポーツモデルなので6MTしか選べないがクラッチは軽く、発進はイージー。このあたりはホントに毎日乗れる味付け。エンジンも低回転からトルクが太く、レース車にありがちな神経質さとは皆無。エンストなどもしそうにない。
とはいえ、走り出しから足回りは硬めで、路面継ぎ目でガツンと衝撃が入る。ハイパワーな1.6ℓターボもサウンドは大きく、普通のカローラスポーツと同レベルで考えたら痛い目に遭う。それなりのクルマ好きでない限りこれに毎日乗るのはムリだろう。
まさしく公道を走るレーシングカー
しかし山道を走った時の鋭いハンドリング、驚愕の出足、ストッピングパワー、高速道路での爆発的な加速、安定性はまさしく公道を走るレーシングカー。
価格も国内では525万円からと、ベース車に比べてとんでもなく高い。しかし、このレベルのチューニングを買った後に自分でしたら総額で700万~800万円は間違いなく超える。よって見方によっては525万円は安く、ある意味ロードスターやGR86に負けずとも劣らぬ国宝級スポーツカーとも言えるのだ。
高いっちゃ高いが、分かる人にはある意味安い「一般人でもギリ買える5人乗りレーシングカー」。最初の500台が終わったら次の発売プランも発表されるだろう。家族持ちの本気のクルマ好きなら「GRカローラ貯金」、もうそろそろ始めてもいいのかも?