元特捜部長レクサス暴走事故で“新証拠”(前編)有罪判決に疑問を投げかけた「第一人者」の鑑定
「検察のエース」と呼ばれた石川達紘・元東京地検特捜部長(83=現・弁護士)が、自家用車で暴走死亡事故を起こしたのは5年前。意外だっただけに、記憶にとどめている人も多いことだろうが、今その裁判が大変なことになっている。石川達紘弁護士は事故当初から「車が勝手に暴走した。アクセルを踏み続けてはいない」と無罪を主張。一審が有罪判決だったことを受け、石川弁護士側は控訴審で一審判決を覆す“新証拠”を提出。現場の不鮮明な防犯カメラの画像分析なのだが、それは車の発信時に「検察側がアクセルを踏み込んだとする(運転していた石川弁護士の)左足先が車外に出ている」という衝撃の鑑定だった。しかも鑑定した大学教授は、これまで警察・検察の依頼を受け、数々の事件解決の画像解析をしてきたその道の第一人者である。鑑定通りなら、車が勝手に暴走したことになる。“新証拠”を受けて裁判所はどうしたのか? 問題の画像を公開しながら、ジャーナリストの村山治氏が緊急レポートする。(編集部)
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トヨタの最高級車レクサスを運転中に暴走死亡事故を起こしたとして有罪判決を受けた元東京地検特捜部長の石川達紘弁護士の控訴審で、画像解析の「第一人者」の大学教授が現場の防犯カメラ画像を解析したところ、一審有罪判決の根幹を揺るがす可能性がある鑑定結果が出た。被告側は「重要な新証拠」として鑑定書を高裁に証拠請求したが、高裁は却下。控訴を棄却した。被告側の上告を受け、教授は「鑑定を公判に付さなかったのは高裁裁判官の職務放棄。最高裁ではきちんと審理してほしい」と話している。(敬称略)