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有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

ブラザー工業(下)ローランドDGのMBOは青天の霹靂…TOB提案「3度目の正直」もあえなく破れる

公開日: 更新日:

 ブラザー工業によるローランドディー.ジー.(DG)への対抗TOB(株式公開買い付け)は、事業会社が投資ファンドに噛みつくという異例の展開となった。

 ブラザーが“同意なき買収”に踏み切った背景にはペーパーレス化の進行で、稼ぎ頭のプリンター製品の成長が見込めなくなったという危機感がある。ブラザーには祖業のミシン、プリンターに続き、産業用印刷を第3の柱に育て、生き残りを図る狙いが読み取れる。

 ブラザーの2024年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売り上げにあたる売上収益が前期比0.9%増の8229億円、純利益は同19%減の316億円だった。

 世界的なミシンメーカーとして知られる会社だが、現在では、売り上げの過半を占める家庭用インクジェットプリンターなどプリンター関連が主力。24年3月期のプリンター関連の売上収益は5149億円。全売り上げの62%となる。

 一方、ローランドDGは産業用印刷の分野で広告看板向けの大型インクジェットプリンターで強みを持っている。Tシャツなどの布に印刷するガーメントプリンターも扱っており、23年12月期の全売上高は540億円だった。

 ブラザーはこれまでに2度、ローランドDGにTOBを提案して拒否されている。1度目は23年9月。1株4800円でオファーした。2度目は24年2月。同4850円。ローランドDGはいずれも歯牙にもかけなかった。

 そして、3度目の正直も「ローランドDGの経営陣とは信頼関係を築くことは難しいと判断した」(ブラザーの佐々木一郎社長)。これが事実上のギブアップ宣言となった。

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