著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

オイシックス・ラ・大地(上)藤田和芳会長が「放射能汚染水」投稿で辞任の波紋

公開日: 更新日:

 オイシックス・ラ・大地(東証プライム上場)は2月22日、藤田和芳会長(77)が辞任したと発表した。

 同氏はX(旧ツイッター)の個人アカウントで、東京電力福島第1原子力発電所の処理水を「放射能汚染水」などと投稿したことの責任を取った。高島宏平社長(50)は藤田氏への監督責任を取る形で2月12日~3月末の役員報酬の10%を自主返納した。

 藤田氏は2月10日、Xに「本当は『放射能汚染水』なのにマスコミはその水を『処理水』と呼んでいる」と書いた。12日にもXに「東京電力は福島原発の放射能汚染水を海に流し始めた。今ある汚染水を海に流し終えるまでには、さらに20年かかる」という趣旨の投稿をした。これは現在、削除されている。

 投稿が波紋を広げたことを受け、藤田氏は13日、「『汚染水』という表現は風評被害を拡大する恐れがあるため、『処理水』に訂正する」と釈明したが、関係者の反発は収まらなかった。

「オイシックスは有機・無添加野菜を販売しているが、『汚染水』で栽培されているのか」との風評が広がった。同社は15日、藤田氏の投稿について謝罪のコメントを発表した。「不必要な不安をあおり、根拠のない風評被害に発展する可能性がある」と指摘。自社の考えとは全く異なり「多大なるご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げる」とした。

 オイシックスは懲罰委員会を開き、審議の結果、3月末までの停職処分とするとの結論に至ったが、藤田氏本人から「会長を辞任したい」との申し出があったため高島社長が辞表を受理する形で事態を収拾した。

 藤田氏は2017年に旧オイシックスと統合した有機食品を販売する大地を守る会の創業者。17年から統合会社(現オイシックス・ラ・大地)の代表取締役会長を務め、22年からは取締役を外れ、代表権を持たない会長となっていた。

 藤田氏の「放射能汚染水」発言は、マスコミが右へ倣えで政府の意向に沿って「処理水」と報じることが腹に据えかねたのかもしれない。同氏の原点は「反権力」だからである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  2. 2

    石田ゆり子ブームは終わらない? ベリーショートに賛否、脱「奇跡の50代」でも人気加速

  3. 3

    国分太一は実質引退か? 中居正広氏、松本人志…“逃げ切り”が許されなかったタレントたちの共通点

  4. 4

    《ヤラセだらけの世界》長瀬智也のSNS投稿を巡り…再注目されるTOKIOを変えた「DASH村」の闇

  5. 5

    池田瑛紗は藝大浪人中に乃木坂46に合格 高校も“私立女子御三家”女子学院卒の超才媛

  1. 6

    作新学院・小針監督の「不適切指導」に私が思うこと 批判するのが“無難”かもしれないけれど…

  2. 7

    TOKIO国分太一「コンプラ違反」秘匿も次々に“セパ報道”で窮地に…復帰は極めて困難な道のりに

  3. 8

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  4. 9

    ポップの本質からズレた、山下達郎の一連の発言への違和感

  5. 10

    国分太一コンプラ違反で「周囲が感じていた異変」…過去にはガングロに"変身”して問題起こした有名人も