非正規雇用が30年で20.3%→37.1%に…増加は1995年の財界リポート「新時代の日本的経営」がきっかけ
非正規への追い込み30年(1)
30年前の1994年、日本の非正規雇用の割合は20.3%だった。それが2023年には37.1%に。非正規雇用で働く人は不安定な上に賃金が低迷し、将来への不安は募るばかりだ。
政権を長らく運営してきた自民党が、企業献金を受けて財界の要望に応えてきた。
非正規雇用増加のきっかけとなったのは、日本経営者団体連盟(02年経団連に統合)が、95年に出したリポートだ。「新時代の『日本的経営』-挑戦すべき方向とその具体策」
95年、財界はバブル経済崩壊後の経済不振と円高に苦しんでいた。円は1ドル=70円台に突入した。
「新時代の日本的経営」では、「雇用ポートフォリオ」の導入を提唱。「長期蓄積能力活用型」「高度専門能力活用型」「雇用柔軟型」の3グループに分けた。
このうち、「雇用柔軟型グループ」が、契約と派遣の非正規雇用だ。リポートの作成にあたった成瀬健生氏(当時の日経連常務理事)が2010年、「新時代の『日本的経営』オーラルヒストリー」(慶応義塾大学出版会)で振り返っている。