ウエルシア&ツルハの経営統合で売上高2兆円規模の巨大チェーンが爆誕…統合を主導するイオンの焦り
業界1位と3位の統合で売上高2兆円規模のチェーンが誕生する。店舗数はウエルシアが約3000で、ツルハが約2700。地域別ではウエルシアが関東から近畿に集中し、ツルハは北海道・東北だけで1000店舗を超える。両社とも食品の売り上げが全体のおよそ4分の1を占める。統合に伴うシナジーとして両社は、収益性の向上や調達における連携、コスト削減などをあげている。
「経営統合でPB(プライベートブランド)商品の共通化も進むだろう。供給先が増えればイオン本体の収益改善にも一定の効果がある」(同)
規模の経済が働くというわけだ。当初案では27年末までの経営統合を目指していたが、今年4月の発表で株式交換の効力発生日を12月1日とし、計画を2年前倒しした。市場環境の悪化が関係しているという。
「海外当局での手続きが不要になり前倒しできた。コロナ禍の反動や薬価改定でウエルシアの収益率は年々低下。競合も勢力を伸ばし、イオンは焦っている」(M&A関係者)
ウエルシアHDの売上高は19年度の8683億円から24年度には1兆2850億円と増え続けた。一方で最終利益はピーク時(20年度)の280億円から、24年度に150億円と減少した。政府による薬価引き下げ圧力は今後も続く見通しで、状況は厳しい。