「東京脱出」企業が増加する背景 コロナ禍収束で都心回帰進むはずが…本社移転は前年度比18%増
東京への一極集中で経済活動が東京に集中するなか、多くの企業が東京に本社を置いている。だが、いま東京から本社を転出させる企業が増加を続けている。
東京商工リサーチによると2024年度に他都道府県に本社移転した企業は1万6271社と、前年度比18.7%増加した(5月28日発表)。転出超過数では東京都が最多で1158件と圧倒的に多く、ほとんどの産業で転出超過となっている。
コロナ禍を境に企業の大都市からの本社移転の動きはその年の社会・経済環境に大きく影響される。同社情報本部・平島由貴氏がこう分析する。
「コロナ禍で多くの企業が本社を大都市から地方へ移転しましたが、コロナ禍が収まり経済活動が再開するに伴い再び企業の本社機能の都心回帰が進んできました。昨年はさらにこの動きが強まると見込んでいたのですが、結果を見ると逆に大都市からの本社移転の動きが強まっています」
そして、その背景をこう述べる。
「中小・零細企業を中心に、オフィス賃料の上昇など物価高からコスト抑制や、都心を離れて地方マーケットを開拓する動きが強まりました。また深刻な人手不足による人材獲得も本社移転につながっていると考えます」