関税15%の実施見通せず…国内自動車メーカーの減益拡大続く
トヨタ自動車は豊田市貞宝町に新工場の用地を拡張し、30年代初めの稼働で国内生産300万台体制を死守、国内販売を充実していく体制だ。同社の幹部社員がこういう。
「米国、中国、国内での販売が厳しいなか、販売先のターゲットを中東、アフリカへ広げています。収益の減少を補うためサテライトの部品メーカーを海外に売却する会社もありますが、うちは完成車工場も部品メーカーもファミリー体制で国内販売を充実させていく方針です」
追浜工場を閉鎖した日産は新型「ルークス」を販売、失地回復を期するが、同車は三菱自動車との共同開発で、生産も三菱自動車水島製作所だ。ディーラーからは「軽自動車で利益幅が少なくメリットがない」という声も聞こえる。先の佃氏が指摘する。
「米国輸出が少ないホンダでも関税の影響で儲けは前年比半減している。国内販売100万台の目標も70万台止まりで、これまで二輪車の売り上げで四輪車の赤字をカバーしてきた四苦八苦状態は変わらない。自立再生が難しい日産は、再びホンダとの合併の話が進む可能性は大きい。メーカーは『グループ化してもブランドは生きる』ことを目指すでしょう」
日本の自動車メーカーはいま生き残りの正念場を迎えている。
(ジャーナリスト・木野活明)