緑茶市場の熾烈なシェア争い トップ独走の伊藤園を猛追する小売PB商品の台頭
「2000年までコーヒー飲料の市場が伸びていたが、伊藤園はお茶への依存度が大きく、コーヒーを開拓できていなかった。タリーズのブランド力を借りてコーヒー販売を伸ばそうとしたと考えられる」(同)
だが、現在でも緑茶への依存体質は変わっていない。25年4月期の売上高は4727億円で、タリーズコーヒーなどの飲食関連事業は1割程度にとどまる。主軸のリーフ・ドリンク関連事業も、飲料販売のうち緑茶などの茶系飲料が7割を占める。コーヒー類は9%に過ぎない。だが、得意とする緑茶市場での地位も盤石ではない。
「小売業者のPB(プライベートブランド)商品がシェアを伸ばしている。価格が安いうえに、昨今の猛暑では飲みやすさや薄さを理由にPBを選ぶ消費者も増えた。メーカー同士の競争は激化している」(同)
直近4年間で売上高は4008億円から4727億円に伸びたが、24年度の営業利益は競争激化に伴うリベートなどの増加により、前年比8%減の230億円となった。
伊藤園は24年4月に大リーグの大谷翔平選手を「お~いお茶」の広告塔に起用。大谷選手の知名度を活用しながら、国内外で販売数を伸ばす構えだ。24年度の海外売上高比率は12%。「大谷効果」で海外に軸足を移せるか、伊藤園の真価が問われる。
(ライター・山口伸)