東京の下町3兄弟「足立・葛飾・江戸川」安さだけじゃない意外な魅力 問題視された治安は今や改善
車ナシでもOK。毎日の買い物は自転車で
物価や家賃の安さは言うに及ばず、生活の利便性も申し分ない。
中でも、都内の中心部では見られない郊外型の大型ショッピングモールが点在するのは、この地域ならではの強みだ。大型モールは買い物・食事・遊び・映画が楽しめ、週末を完結できる場所として人気だ。
たとえば、西新井(足立区)と亀有(葛飾区)にはシネコンを備えた「アリオ」があり、ららぽーとTOKYO-BAY(船橋市)やイオンレイクタウン(越谷市)など近隣の巨大ショッピングモールも、車なら30分ほど。都心部の混雑を避けて、大型モールにアクセスできる選択肢をもてるのはうれしい。
亀有で生まれ育った50代の女性が言う。
「職場の渋谷までは常磐線直通の千代田線で表参道まで行き、半蔵門線に乗り換えて45分。通勤はそんなに苦じゃありませんし、渋谷の都会生活とゆったりした地元生活をどちらも楽しめるからバランスが取れていいですね。日々の買い物は、もちろん地元。免許がないので、自転車でスーパーやクリーニング店、病院などを回ります」
この3区は地形がほぼ平坦で、坂が多い城南地区と比べて自転車移動が便利だ。アシスト付き自転車さえあれば、この女性のように車がなくても問題なく生活できる。
■ロードサイドに連なるB級グルメチェーン
各種グルメも充実している。環七や水戸街道、日光街道、京葉道路などの主要国道沿いには、ロードサイド型のチェーン店が集結。ファミレスや牛丼、回転寿司、焼き肉、ラーメン、うどん、とんかつ、ハンバーグ、ステーキなど、より取り見取りで好みの味を楽しめる。メディアで取り上げられる全国チェーンの店舗は、都心より郊外にこそ出店する。その点でこの3区はチョイスに悩むほどだ。
そんなB級グルメの宝庫ともいえる3区で注目のグルメが、葛西近辺で増えている「インド中華」だ。葛西には1990年代後半からITエンジニアを中心にインド出身の住民が増え、一大コミュニティーを形成していく。街にインド料理店がじわじわと増えるとともに、故郷でなじんだ味として“インドで独自に発展した中華料理を出す店”も登場し、ほかではなかなか食べられない味を提供している。
映画やドラマ、小説などで描かれる“原風景”も残っていて、寅さんでおなじみの柴又(葛飾区)はもちろん、堀切菖蒲園(葛飾区)周辺は低い木造住宅、細い路地、昔ながらの個人商店、小さな町工場が軒を連ねる。映画や小説さながらの庶民の暮らしの空気感が今も感じられる。
一方、足立区の北千住は複数路線が交わるターミナルとして発展。大学の進出も相まって、若者の姿が増え、下町と学生街が混在する独特の雰囲気を醸し出す。
花畑(足立区)、金町(葛飾区)、船堀(江戸川区)といったエリアの団地には、かつて“未来の暮らし”として作られた街が今も残っており、現代の視点でその風景をめぐるのも興味深いだろう。


















