【寄稿】世界は「剣呑」な雰囲気になってきた
「通商」「通貨」で1930年代を思わせる動き
グローバル経済はいよいよ“秋の陣”に突入です。米国は今月1日、中国製品に対する制裁関税「第4弾」を発動しました。段階的な引き上げの結果、米国の対中関税は20%を超え、米国の関税水準が激烈な高さだった1930年代並みにまでなってしまった。第2次世界大戦に向かう“戦間期”と似た状況になってきたわけです。心ある人はみな、忍び寄る1930年代の影に危機感を抱いてきていましたが、具体的な事象が明らかになり、怖さの次元がワンランクアップしたように思います。
「通商」だけでなく、「通貨」の面でも1930年代を思わせる動きが出てきています。米国が為替戦争を仕掛ける宣言をしていることです。米国は今や落ちぶれた基軸通貨国ではありますが、それでもドルは現在も国際決済に使われています。そんな国が開き直って、通貨安政策を前面に打ち出してきたのです。
「強いドルは米国の国益にかなう」というのが米国のオフィシャルなポジションであり、これまでは一度もその姿勢を崩さなかった。ところが、トランプ政権は「ドル高なんて嫌だ」と為替介入してでも「ドル安」にすると公言している。