盗人に追い銭ではなかったのか 日米関税合意文書は「出さない」ではなくて「出せない」のだ

臨時国会で日米交渉の合意文書をなぜ出さないのかと突っ込まれて、相手が普通じゃないからとは驚くべき答弁だ。今後も話が違うとなれば、相手のせいにするのだろう。それでなくても米国産米の輸入優遇はWTO違反。ますます怪しい関税交渉。
◇ ◇ ◇
石破首相と関係閣僚が出席して行われた、5日の参院予算委員会の集中審議では、4日の衆院予算委に続き、日米関税交渉に関する質問が相次いだ。
それはそうだろう。交渉を巡っては、トランプ米大統領が日本に7日から15%の相互関税を課す大統領令に署名したものの、同じ15%への引き下げで合意したはずの自動車関税の実施時期はいまだにめどが立っていない。
5500億ドル(約80兆円)の対米投融資についても、資金の出し方などについて日米で見解の相違が露呈。米国側が「日本が5500億ドルを投資し、得られる利益の90%を米国が得る」と主張し、ラトニック米商務長官も「日本はあくまで資金提供者」などと説明していたが、日本側は「80兆円は官民投資の目標額」「米国が利益の90%を得るとしているのは、日本の政府系金融機関が出資する全体の1~2%の事業」との理解だ。
これほど認識がズレていると、日米双方の「解釈の違い」や「理解不足」というレベルではないのは子供でも分かる。
石破は5日の参院予算委で、合意内容を説明する「ファクトシート」の公表を検討する考えを示したが、すでに日米両国で食い違いが表面化する中、詳細に踏み込むほど認識のズレがますます浮き彫りになるのではないか。
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り2,373文字/全文3,045文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】