ドラ1候補仙台大・熊原 直球は30球投げ続けても威力不変
高校(宮城・柴田)までまったく無名、大学も〈全国〉の経験のない普通のチーム。そういう環境から飛び出してプロ野球で大活躍している投手。高校生の時、そういうお手本を探したら、〈中日浅尾〉に行き着いたのだという。
「会いたいです、ものすごく。もし話でもできたら、自分、どうなるかわからないですけど……」
ピークの調子を維持している時期だった。
リーグの宿敵・東北福祉大を圧倒するために、そしてプロという未知の舞台で存分に暴れ回るために磨いた快速球を、そのまま全力でこっちのミットに叩きつけてきた。
タテのスライダーもフォークも、空振りの三振を奪える激しい変化なのは知っている。しかし、この熱投右腕の〈生命〉はストレート。間違いないと踏んだ。
何球続けられるのか。飽きることなく、緩むことなく、どれだけ渾身のストレートを投げ込んでこられるのか。15球、20球、30球が過ぎても、まだ吊り上がった目をして腕を叩きつけてきた。野球も人間もすれてない。これから伸びていく人のみずみずしさがこっちもうれしかった。