“史上最悪五輪”が幕開け 非常事態宣言のリオに平穏なし
史上最悪の五輪が幕を開けた。
南米初開催となるリオデジャネイロオリンピックが現地5日午後8時(日本時間6日午前8時)に開幕。史上最多205の国と地域のほかに、難民選手団10選手など、1万人を超える選手が参加。104番目に入場行進をした日本は338選手が出場。役員を含む選手団は過去最多の601人となった。21日(同22日)までの17日間、28競技306種目で熱戦が繰り広げられる。
だが、今回ほど「事件、事故」のにおいがプンプンする五輪は過去に例がない。大会直前には、ロシアの国家的ドーピング問題で参加の是非が問われ、ジカ熱感染の懸念から欠場者も続出。街中には強盗がはびこり、すでに選手やスタッフ、日本人も被害に遭っている。
セーリングなどの競技会場となっているグアナバラ湾は海に垂れ流される排水汚染がひどく、動物の死骸も浮いている。この海からは耐性菌の「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌」が検出されている。
財政危機のリオデジャネイロ州の政府は6月に非常事態を宣言。給料が支払われない現地では、警察、医療、教育関係者をはじめ、「他に優先すべきことがある」と五輪に反発する市民のデモが行われ、地元に歓迎ムードはない。
先月にはテロを企てようとした疑いで、「イスラム国」と関係のある10人の逮捕者も出た。大会期間中は8万5000人規模の警備態勢が敷かれるが、犯罪都市で行われるスポーツの祭典が、何事もなく終わると思っている者はおそらく皆無だろう。