巨人入りも進言 OB高橋善正氏が語る阿部慎之助の思い出

公開日: 更新日:

 長年、激務の捕手を務め、故障も多かったが、よくぞたどり着いた。

 慎之助が中大に在籍していた頃、私はOB会長だった。リーグ戦で初めて見た時の印象は「強肩」。ガッチリした体格で肩が強い、捕手らしい捕手だと思った。

 東京の安田学園高時代は高校通算38本塁打というものの、中央球界で名の知れた捕手ではなかったと思う。中大は当時、東都リーグの2部に低迷。父の東司氏が中大出身ということで入学したようだ。

 大学4年の2月、招待選手として日本ハムの春季キャンプに参加していた慎之助を現地で視察した。逆方向のレフトへ本塁打していて、その場にいた東司氏に「打撃もいいね」と言うと、「今、知りました?」とニヤリと笑っていた。

 2000安打の達成にもつながるが、技術的には右腕のたたみ方が抜群にうまい。だからインコースを苦にしない。これは教えてもなかなかできない。社会人野球を経験している父の指導か天性か大学時代にはもう武器にしていた。

 この頃のプロ野球ドラフトには逆指名制度があった。早くから熱心だったのは実はヤクルト。担当スカウトが通い詰めていた。当時のヤクルトは古田敦也が全盛期で正捕手として君臨していた。慎之助が2、3年の頃だったか、東司氏が「ヤクルトの古田さんの下で2、3年鍛えてもらって……」と言うので、私は「とんでもない」と反対した。コーチならまだしも、バリバリの現役捕手が新人を指導するはずがない。それより、正捕手の村田真一(現ヘッドコーチ)がベテランに差し掛かっていた「巨人の方がいいよ」と進言したのを覚えている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは