市民ランナー川内圧勝の裏で 実業団選手は必死に駅伝調整

公開日: 更新日:

「合わせ技一本」だ。

 17日の防府読売マラソンに出場した川内優輝(30)が、2時間10分3秒で大会3年ぶり3度目の優勝を果たした。川内は、3日の福岡国際では2時間10分53秒の9位だった。「日本人3位までで2時間11分以内(同4~6位・2時間10分以内)」の条件はクリアできなかったが、対象となる2レースの平均が2時間11分以内となり、東京五輪マラソンの代表選考会(マラソングランドチャンピオンシップ=MGC)の出場権を獲得した。

 すでに代表引退を表明している川内もマラソンをやめたわけではない。2週間後にレースに出ることなんて屁のカッパだが、今はマラソンどころではないのが、元日の全日本実業団対抗駅伝を走る選手たちだ。彼らにとってニューイヤー駅伝こそが、年間行事における最大イベント。企業の「広告塔」として、最高の走りをするため、12月は調整に余念がない。

 よって、東京五輪のマラソン代表を狙う者たちは元日の駅伝が終わってから、別府大分、東京、びわ湖毎日などのレースでMGCの出場権を取りにいくことになるわけだが、日本のマラソン低迷の原因が実業団の駅伝重視にあることは、関係者たちがいくら否定しても明らかだ。実業団を退社し海外へ飛び出していった大迫傑(26)が福岡国際で、国内歴代5位の2時間7分19秒で3位に入った事実もそれを物語っている。

 東京五輪まで950日を切った。意識のレベルが違う大迫に、「駅伝第一」の実業団選手が勝てるはずがない。マラソンに対する意識や取り組み方なら市民ランナーの川内の方がはるかに上だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ