著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

米国のアマスポーツにも存在する「ゆがんだ勝利至上主義」

公開日: 更新日:

 今年5月の日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボールの試合で起きた、日大選手による関学大選手への悪質な「反則タックル」が集めた社会的な注目度の高さは周知の通りだ。

 中でもとりわけ注目されたのは、勝利のためであれば方法を選ばず規則違反もいとわない「ゆがんだ勝利至上主義」だ。

 もちろん、勝負である以上、選手や指導者が勝利を目指して努力を重ねることは当然だ。

 しかし、あらゆる努力は規則の範囲内でなされるべきであり、規則を逸脱することを前提とするような取り組みは不適切となる。

 このような「ゆがんだ勝利至上主義」は、決して日大アメフト部や日本の学生スポーツだけにとどまらず、他国でもしばしば見られる光景だ。

 米国では、アマチュアスポーツ、特に小学校から高校までのスポーツをボランティアが支えている。

 米国の中学校や高校では、日本の中高の部活動における顧問に相当するコーチが報酬を得て指導している場合もある。その一方で、小学生が参加する地域のスポーツチームは、保護者の有志が無償で役割を分担して運営に携わることがほとんどだ。

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